加賀友禅訪問着コーディネート　くすみカラーの現代的な装い

2023.9.28

加賀友禅　訪問着

春頃から別注していた加賀友禅が夏の終わりから少しずつ染め上がってまいりました。
りんや好みに別染めしていただいたものの染め上がりを見るのは本当にワクワクドキドキ。

本日はお問い合わせも多く、何度も熱く語ってきた吉村伊佐子氏の訪問着をご紹介いたします。

言わずもがな、東西の文化が交わるシルクロードを辿る旅のような作風で、正倉院文様を主軸とした繊細な筆致が目を惹きます。
翡翠、トパーズ、アメジストといった宝石のような彩りの唐花が、ふわりと広がりを見せ、
上前衽と後ろ右身頃に縦に伸びるレースのような独特の意匠は、身に纏ったときに繋がるように配されています。

友禅の彩色で白は「胡粉」を用います。
吉村氏の特徴的な彩色はこの胡粉を多用しており、実はすべての彩色箇所に予め胡粉が挿されているとのこと。
実際に着用した時に、着る人ご自身が、上から上前を見た時や、座った時の膝あたりなどを見た時に、
白が下地にあることで色の見え方に立体感が増す、とお話をお聞かせいただいたことがあります。

体に纏って、着用した人の目線での見え方も配慮されているところは、女性ならではの視点。

地色も相まった全体的に淡いタッチは、一見すると、派手さはなく大人しく慎ましやかな色調ですが
見れば見るほど、纏えば纏うほどに、忍ぶ華やかさを感じる訪問着です。

加賀友禅　吉村

加賀友禅　コーディネート

こちらはコーディネートのご提案です。
上前と後身頃のレースのような縦文様とリンクしたような袋帯は、西陣の「志都香」謹製。
古典文様にパステルカラーなどの現代的なエッセンスを加えて品よく織り上げたお品も多く、りんや好みの機屋です。
横段ぼかしの地も、ほんのりピンクがかった色味も、こちらの訪問着と何とも好相性ですね。
オリエンタルなムード漂う意匠に柔らかなくすみのある色合いは、他のお着物に合わせた時も
着こなしを現代的にブラッシュアップしてくれます。
プラチナ箔が用いられた箇所は美しく煌めき、改まったお席にも大変相応しい一本です。

彩度を合わせた帯〆帯揚げでまとめ、ワントーンコーデに近いような洗練された透明感のある装いとなりました。

袋帯　訪問着コーデ