灰みの美 ~凛屋が考える加賀友禅の美しさ

「灰み」の色。
それは明彩色にグレーを混ぜた、スモーキーでグレイッシュな色のことです。
灰桜、灰青、灰白色(かいはくしょく)といった、まさに色名に「灰」が付いたものや、銀鼠、藤鼠、錆浅葱(さびあさぎ)、薄鈍(うすにび)、煤色(すすいろ)…など、グレーは暖色にも寒色にも優しく馴染み溶け合い、灰みを帯びたその色は静かに囁くような美しさがあります。
また、銀色、錫色、鉛色といったようにグレー系の色に金属の名前が付いたものが多いのは、ほんのり艶や光沢を感じる所以なのかもしれません。
鮮やかではないけれど、包み込むような柔らかな色。
ときに明るく、ときに暗く。
凛屋で別染めする加賀友禅のお着物の地色の多くは、灰みがかったお色を常に意識しています。
私たちは加賀友禅の美しさをより際立たせ、纏う人を魅せるものが「灰み」であると考えています。

加賀友禅の産地であるここ金沢には「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるくらい年間降水量の多い地域です。雨だの雪だのあられだの何かしらが空から降っていることがほとんどで、鉛色の空が広がる景色こそ金沢たる風景なのです。
刺繍や金彩といった加工を一切施さず染めのみで文様を表現した加賀友禅は、灰みを帯びた地色の上でよりその柄の色彩が引き立つ作品が数多くあるように感じます。
金沢で脈々と培われてきた加賀友禅だからこそ、ほんのり暗い空や雨模様と非常によく親和するのではないでしょうか。また、着物の彩りそのものはもちろん、それを着用しそぞろ歩く街並みにも「灰み」がよく似合うのです。
余談ですが…
金沢の人(石川県全域ともいえます)は、何も降っていない状態のことを「晴れ」と表現します。
秋から冬を超え春先まで青空が見える日が非常に少なく、太平洋側でいうところの「くもり」のお天気でも、何も降ってさえいなければ金沢の人にとってはそれは立派な「晴れ」なのです。
例えば雨が降って空が暗い状態でも、雨が止んだ瞬間から「あ、晴れたね」という具合です。もしかしたら考えようによっては「晴れ」の日も多いともいえるかもしれませんね。他地域からこちらに引越してこられた方は、市民が発するお天気情報に混乱するかもしれません。
金沢にとっては太陽の恵みなんていうものは「晴れ」より上の最上級のご褒美のようなものといっても過言ではありません。


纏う人をより美しく引き立て、華美ではないけれど忍ぶような控えめな華やぎとしっとりとした品格が香るような「灰み」。
これからも凛屋は『灰みの美』を追求しご提案してまいりたいと思います。
加賀友禅のお見立て、コーディネートご相談は是非おまかせください。
ご着用シーンやなりたい着姿など丁寧にお伺いしながらご提案させていただきます。
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