【別誂え 加賀友禅 花嫁のれん】

2014年
静岡県(大阪府) 三觜 咲(みつはし さき) 様(旧姓 春名)

御名:「奏春の郷」
製作:意匠 凛

*二つの貝桶を宝相華唐草(ほうそうげからくさ)が彩り、茜色の空には幸運の花喰い鳥(=翡翠(かわせみ)が今まさにその想いを伝えようと飛翔する場面です。

加賀友禅 花嫁のれん3-1

二つの貝桶には新婦・咲様のお母様の故郷である石川県の兼六園と、これからお二人が新しい生活を迎える静岡の富士山が、また、この二つの貝桶は幸せが幾重にも重なるように輪島塗の蒔絵のように表現されております。
貝桶は貝合わせの蛤(はまぐり)をしまい、対になる貝を違えないところから夫婦和合の象徴です。

加賀友禅 花嫁のれん3-4

そして右下隅の二枚の蛤にはそれぞれ新郎・健太様の誕生花のトルコキキョウと咲様の誕生日に因んだコスモスが描かれております。
また、その隣の黄色と水色のお名前は咲様ご自身による彩色(さいしき)(=友禅)です。

加賀友禅 花嫁のれん3-5

 

加賀友禅 花嫁のれん3-2

宝相華唐草と共に咲く大輪の牡丹は咲様のお母様のお好きなお花。
そして、たわわに実る葡萄は子孫繁栄のしるし。
これら花喰い鳥・宝相華・牡丹葡萄唐草は飛鳥・奈良時代に起源を持ち「天平文様(てんぴょうもんよう)」と呼ばれます。
まさに、春名家の故郷である奈良の天平がこの度の物語の背景となっております。

こうして紡いだ皆様の原風景が描かれたこの花嫁のれんには、咲様のお父様により「奏春の郷(そうしゅんのさと)」と名付けて頂きました。

加賀友禅 花嫁のれん3-3