御誂え製作工程バナー

製作工程写真1

「小下図作製」
まず、最終的なイメージを想像しながら、小下図(図案の縮小版)を作製します。
通常、数パターン起こし、検討します。

製作工程写真2

「小下図決定」
今回はこのような、完成イメージに決定致しました。

製作工程写真3

「図案の下描き完成」
鉛筆での下描きが完成しました。

製作工程写真4

「図案のペン入れ」
鉛筆描きをペンで清書します。

製作工程写真5

「図案のペン入れの完成」
鉛筆描きをペンで清書します。

製作工程写真6

「下絵」
図案の上に、白生地を置き、下から蛍光灯で照らし、ペンの通り、白生地に青花(露草の花弁から抽出した染料)で下絵を描きます。

製作工程写真7

「下絵の完成」
下絵が全て描かれました。

製作工程写真8

「糸目糊置き」
下絵通りに真糊(もち米を炊いて作る糊)を糸のように細く線描きのように置いていきます。
(「腰で引く」と言われるほどの重労働です)

製作工程写真9

「糸目糊置き完成」
下絵通りに真糊(もち米を炊いて作る糊)を糸のように細く線描きのように置いていきます。
糊糸目が置き上がりました。

製作工程写真10

「彩色(友禅)」
糊糸目に囲まれた中に染料を挿していきます。
生地に吸着した糊の壁により、染料がはみ出しません。
ここで、“ぼかし”や“虫喰い”の技術により、友禅独特の写実的な表現が施されます。
最も重要な工程です。
時間と労力を費やし、生地に命が吹き込まれる瞬間です。
花嫁のれんの出来栄えを大きく左右します。

製作工程写真11

「彩色(友禅)の完成」
背景が染まる前の段階まで完成しました。
この時点では、染料は言わば、“生”の状態で、本来の発色をしていません。

製作工程写真12

「雪輪糊置き」
雪輪の形をした糊を型で置きます。
(何になるかは完成までのお楽しみ)

製作工程写真13

「家紋の糊置き」
家紋を白く染め抜くために伏せる糊を置きます。
(マスキングですね)

製作工程写真14

「中埋め(柄伏せ)」
背景色を染めるために、彩色(友禅)された部分を糊で伏せます。
糊を置きながら、木の粉を振り余分な水分を吸収させます。
ここで、一晩以上、乾燥させます。

製作工程写真15

「地入れ」
背景色を染める前に、大豆を煮た上澄みの液を生地全体(表も裏も)に、浸透させます。
この作業を地入れと言います。
これにより、背景色がよりムラなく染まります。

製作工程写真16

「引き染め(背景色染め・表)」
彩色(友禅)された柄部分や家紋部分などの際まで背景色を引いていきます。
今回の赤い部分は、薄い赤から計三回重ねて染めました。

製作工程写真17

「引き染め(背景色染め・裏)」
こちらは裏面です。
裏面からも引いていきます。

製作工程写真18

「引き染め完成」
今回は計二日間を擁し、背景色が染め上げられました。
ここでも、染料は本来の発色をしていません。

製作工程写真19

「蒸し」
高温の蒸し箱に数分間置きます。
熱により染料に配合された合成タンパク質(カゼイン)が凝固する作用により、染料粒子が生地に固着します。
また、化学反応により、染料が本来の発色を始めます。

製作工程写真20

「水元」
大量の地下水により、定着した染料以外を全て洗い流します。
ここで、青花染料・糸目糊・伏せ糊、そして余分な染料が落ち、また繊維の中の不純物もきれいにされます。
そして、乾燥・湯のしを経て染め上がります。

製作工程写真21

「染め上がり」
染め上がりました。
この後、仕立てられます。

製作工程写真22

「完成」
四つの紅白の房が吊るされ、完成です。

加賀友禅 花嫁のれん「玖珠玉(くすだま)」四隅を大きな雪輪で形取り、御簾越しに玖珠玉が垣間見える構図です。
玖珠玉には象徴的な牡丹・桔梗・梅・菊・花菖蒲が五色の糸で結ばれています。
同じ五色の熨斗が「左近の桜」「右近の橘」にて束にされています。
雪輪のほの明かりに誘われるように、また五色の組み紐の蝶が五羽舞っています。
陽数(奇数)で全てを描きました。
『虚々実々』の世界観を「五行思想」と「陰陽道」で表現しました。

※花嫁のれんの原型の題材は「玖珠玉」だとも言われています。