「小下図作製」
まず、最終的なイメージを想像しながら、小下図(図案の縮小版)を作製します。
通常、数パターン起こし、検討します。
「小下図決定」
今回はこのような、完成イメージに決定致しました。
「図案の下描き完成」
鉛筆での下描きが完成しました。
「図案のペン入れ」
鉛筆描きをペンで清書します。
「図案のペン入れの完成」
鉛筆描きをペンで清書します。
「下絵」
図案の上に、白生地を置き、下から蛍光灯で照らし、ペンの通り、白生地に青花(露草の花弁から抽出した染料)で下絵を描きます。
「下絵の完成」
下絵が全て描かれました。
「糸目糊置き」
下絵通りに真糊(もち米を炊いて作る糊)を糸のように細く線描きのように置いていきます。
(「腰で引く」と言われるほどの重労働です)
「糸目糊置き完成」
下絵通りに真糊(もち米を炊いて作る糊)を糸のように細く線描きのように置いていきます。
糊糸目が置き上がりました。
「彩色(友禅)」
糊糸目に囲まれた中に染料を挿していきます。
生地に吸着した糊の壁により、染料がはみ出しません。
ここで、“ぼかし”や“虫喰い”の技術により、友禅独特の写実的な表現が施されます。
最も重要な工程です。
時間と労力を費やし、生地に命が吹き込まれる瞬間です。
花嫁のれんの出来栄えを大きく左右します。
「彩色(友禅)の完成」
背景が染まる前の段階まで完成しました。
この時点では、染料は言わば、“生”の状態で、本来の発色をしていません。
「雪輪糊置き」
雪輪の形をした糊を型で置きます。
(何になるかは完成までのお楽しみ)
「家紋の糊置き」
家紋を白く染め抜くために伏せる糊を置きます。
(マスキングですね)
「中埋め(柄伏せ)」
背景色を染めるために、彩色(友禅)された部分を糊で伏せます。
糊を置きながら、木の粉を振り余分な水分を吸収させます。
ここで、一晩以上、乾燥させます。
「地入れ」
背景色を染める前に、大豆を煮た上澄みの液を生地全体(表も裏も)に、浸透させます。
この作業を地入れと言います。
これにより、背景色がよりムラなく染まります。
「引き染め(背景色染め・表)」
彩色(友禅)された柄部分や家紋部分などの際まで背景色を引いていきます。
今回の赤い部分は、薄い赤から計三回重ねて染めました。
「引き染め(背景色染め・裏)」
こちらは裏面です。
裏面からも引いていきます。
「引き染め完成」
今回は計二日間を擁し、背景色が染め上げられました。
ここでも、染料は本来の発色をしていません。
「蒸し」
高温の蒸し箱に数分間置きます。
熱により染料に配合された合成タンパク質(カゼイン)が凝固する作用により、染料粒子が生地に固着します。
また、化学反応により、染料が本来の発色を始めます。
「水元」
大量の地下水により、定着した染料以外を全て洗い流します。
ここで、青花染料・糸目糊・伏せ糊、そして余分な染料が落ち、また繊維の中の不純物もきれいにされます。
そして、乾燥・湯のしを経て染め上がります。
「染め上がり」
染め上がりました。
この後、仕立てられます。
「完成」
四つの紅白の房が吊るされ、完成です。
加賀友禅 花嫁のれん「玖珠玉(くすだま)」四隅を大きな雪輪で形取り、御簾越しに玖珠玉が垣間見える構図です。
玖珠玉には象徴的な牡丹・桔梗・梅・菊・花菖蒲が五色の糸で結ばれています。
同じ五色の熨斗が「左近の桜」「右近の橘」にて束にされています。
雪輪のほの明かりに誘われるように、また五色の組み紐の蝶が五羽舞っています。
陽数(奇数)で全てを描きました。
『虚々実々』の世界観を「五行思想」と「陰陽道」で表現しました。
※花嫁のれんの原型の題材は「玖珠玉」だとも言われています。